常日頃、クリエイティブ・コーディングで「面白い」作品を作りたいと思っています。 でもどうすれば面白いものを作れるのか? そもそも「面白い」ってどういうことだろう?
その答えを得られそうな、「面白い」のつくりかた(新潮新書)という本を読んでみました。
著者は佐々木 健一さん。 数々のテレビ番組を制作されてきた方です。 日々「面白い番組を作りたい」と考え続け、面白いとは一体何だ?という問いに対してのある結論に至り、それを綴られたのがこの本です。
テレビの現場での経験談や著名なクリエイターの言葉などを交えて、「面白いとは」を多角的に説明してくれます。
「面白い」とはズバリ
第一章「そもそも面白いって何?」の3ページ目にして、「面白い」とは「差異と共感の両輪」であるという答えがズバリと出ます。 それは、差異(意外性、驚き、異質感)に興味を惹かれ、それを知ることで価値観や世界観が拡がり、その結果共感をおぼえたとき、人は面白いと感じるということ。
単に差異という刺激があるだけでもダメで、全くの期待通りだったり、自分と同質というだけの共感でもダメ。差異によって新たな気付きを得て自分に変化が起き、それまで異質と捉えていたものを許容し、共感できるようになっていく。 そこに「面白い」という感覚が生じるのだそうです。
これをクリエイティブ・コーディングにどう活かすか?単に奇抜でオッ!と思わせるだけじゃダメということはわかりますが、その先の「共感」にどう持っていけるのか?
「共感」は今まで全く意識していなかったことです。これはなかなか難しい…
クリエイティブであることとは
面白いものを作るために、クリエイティブであるには何が必要か、新しいアイデアが浮かぶとはどういうことか?
この本では、アイデアとは無から新たに「浮かぶ」とか「思いつく」ものではなく、今すでにあるものの組み合わせから生まれると述べられています。同時に、クリエイティブなものは、経験や学びという蓄積から生まれてくるとも。
どちらも「何もないところから何かが生まれてくることはない」ということですね。
本の中でも引用されている映画監督 黒澤明の「創造とは、“記憶”である」という言葉が端的に表すとおり、クリエイティブなアイデアは魔法のように何かのきっかけでポッと出てくるものではなく、地道な学び、多くの経験の蓄積から生まれることをあらためて認識しました。
作りっぱなしにしてきたことを反省
「面白い」作品と作ろうと思いながら、今までその場の思いつきだけで作品を作りっぱなしにしてきたことを反省しています。
もっともっといろんなものをよく見て、深く感じるように意識しよう、先達の作品の研究にももっと時間を割いていこうと思います。
作品づくりの参考になる多くの学びが得られた、良い読書でした。