美術手帖編集の「葛飾北斎 江戸から世界を魅了した画狂」を読みました。 約50点の豊富なカラー図版とその解説が、127ページのコンパクトな中に、ギュッと凝縮された本です。
それぞれの絵の見どころ、構図や色づかいなどの解説が面白く、最後まで肩凝りせずに楽しく読めました。
子供に見せちゃいけないアーンなアートにも結構ページが割かれています。 北斎に影響を受けて描いたと言われる、ピカソのアーンなアートは必見!
葛飾北斎という名前はもちろん、「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」などの作品も知ってはいましたが、この本を読んであらためてその絵の魅力に新鮮な驚きを感じました。
クリエイティブ・コーディング的面白さ!?
北斎の作品の中に、クリエイティブ・コーディング的表現の視点で観て「興味深い」と感じるものが多いことに驚きました。例えば…
鯉亀図
水の流れを表現する曲線と、その先の鯉や亀の体表のグラデーション表現、流れの曲線が鯉の手前にあったり奥にあったりするのも面白い。
諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝
上部の円形にくり抜かれた先の、上から見たような水面、そこから流れ落ちる滝が全然リアルじゃないんだけど、図案として不思議な面白さを感じます。
西瓜図
スイカの断面がボロノイ的! 吊るされたスイカの皮の曲線も三角関数でどうにかと考えてしまいます。
釋迦御一代記図会
渦の幅の変化と又の別れ方や、破壊された建物の破片の渦への配置、細長い物体の置かれた方向など、工夫のしどころがいろいろと見えてきます。
あらためて、もっと知っていこう
北斎の作品は、クリエイティブ・コーディングでの制作のインスピレーションを与えてくれる、とても興味深い存在であることをあらためて感じました。
デジタルアートの先駆的作品だけでなく、日本の文化的遺産であるこのような作品も、研究対象としてもっと深く観察していきたいと思います。